Student’s Column「多珂うどんを通じて学ぶマーケティングの奥深さ」
私は、8月に相馬市で行われた農学サマースクールへ参加し、原町高校の生徒の皆さんと共に「多珂うどん」のマーケティング戦略について考えるという貴重な機会を得た。多珂うどんとは、福島県南相馬市で米、麦、大豆を栽培している高ライスセンターが自家栽培のきぬあずまを100%使用して生産しているうどんであり、高ライスセンターは令和4(2022)年度農林水産祭天皇杯を受賞している経営である。農学サマースクールでは、普段の講義などとは違い、フィールドワークにおいて実際にその商品も見て得た情報を基に、戦略を考えるということが求められた。参加前は、期待と同時にわかりやすく説明などができるかなどの不安もあったが、多くのことが学べた2日間であった。
農学サマースクールは、東京農大東日本支援プロジェクトにおける人材育成事業として行われるものであり、土壌、野生動物、生態系、マーケティングの各分野でフィールドワークを行う。私は、「マーケティング実践講座」に参加した。「マーケティング実践講座」では、多珂うどんのマーケティングをテーマとし、フィールドワークと発表を行う。初日は、高校生にマーケティングについて簡単に理解してもらうため、事前に用意をしたスライドで、私たち学生が講義を行った。講義では、マーケティングの基礎となるSTPやマーケティングミックス(4P)の説明、ポジショニングの解説では、5種類のヨーグルトを用いて知識を深めてもらった。講義の後のフィールドワークでは、マーケティングについて学んだことを活かし、南相馬市の道の駅や地元スーパーで、値段や競合商品、陳列方法など、多珂うどんがどのように売られているかを確認した。そこから現状の課題や強豪とのポジショニングを考え、次の日の発表のために効果的な販売戦略を確定するための施策などを考えた。2日目には、前日にフィールドワークを通じて考えた高校生のアイデアを基に作成したスライドを代表の高校生が発表し、農学サマースクールは終了した。
私がこの農学サマースクールで最も印象に残ったのは、高校生のアイデア力であった。私も、実際に商品をスーパーなどに見に行って、分析し、施策を考えるのは初めてのことであったため、今思うとひねりのないアイデアばかりをだしていたと思う。しかし、高校生から出るアイデアは、斬新なものが多くあった。例えば、「多珂うどんを他社の商品と比べたときに差別化できるポイントはなんだろう」と質問した際、「天皇杯の受賞を生かしてパッケージなどを高級感が出せる木箱などにすれば贈答品として販売できそう」という発言から、多珂うどんを贈答品としてブランドを確立させる案や「海外に住んでいる日本人や日本食を好んで食べる外国人に向けに海外で販売しよう」という考えから海外向けの施策としてアジア進出や海外回転寿司チェーンでの使用の案が生まれた。これらの斬新な考えや発言は、自分にとって新鮮なものであり、自分のマーケティングを学びたいという思いを見直す良い機会となった。
(国際バイオビジネス学科 マーケティング研究室 4年)