農学サマースクール2023
2023年度の農学サマースクールは、8月1日~2日に相馬市と南相馬市のフィールドで4つの講座が実施されました。
開催概要
- プログラム1日目(8月1日):フィードワーク
- プログラム2日目(8月2日):成果発表会
復興農地を科学的に解析してみよう(相馬会場)
担当:中島亨(生産環境工学科)/大島宏行(土壌学)
津波被害を受けた水田は、現在のところ着々と圃場の再整備が行われている。圃場整備において基本的で重要な情報である「距離」についてUAV(ドローン)を使い写真測量を行う。高等学校ではほとんど学ぶことがないドローンを使った写真測量を体験し、どのように水田の復興圃場整備が行われているのか理解してもらう。土壌断面調査では深さ50cm程度の穴を掘り、土壌を横から観察する。さらに、震災当時に採取した土砂と今の畑の土壌を簡易に分析・比較する。



身近な虫たちの生態をさぐる(相馬会場)
担当:足立太郎(昆虫生態学)
身近な生きものである虫たち(節足動物・環形動物・両生類など)を生態系としてとらえ、田畑や牧草地、里山における環境保全機能としての生態系の重要性を理解する。相馬市の馬陵公園においてに昆虫類やクモ類などを探索する。各動物を分類・同定し、生育場所やたべている餌について検討する。あわせて、捕虫網や誘引トラップ、おとし穴トラップなどによる節足動物の採集法や、チョウ類の展翅など標本作成法について、昆虫生態学を専門とする大学教員や大学生から実地にまなぶ。


里山に進出する野生動物(南相馬会場)
担当:山﨑晃司(野生動物)
南相馬市小高地区の国道6号周辺を例にとり、生活や営農が再開された里山部への野生動物の進出の程度を確認すると共に、今後予測される人との軋轢を考えるきっかけとする。特に山地から下ってきている在来種のイノシシ、サル、また里山部から分布を広げている外来種のアライグマに注目する。当日は、野生動物をモニタリングするための自動撮影カメラの仕組みを学んだ後、すでにカメラを仕掛けている地点を回り、映像の確認から進出の程度を推定する。野生動物の糞を拾い、どのような食物を利用しているのかその内容物の観察も行う。また獣害を防ぐための電気柵、捕獲罠などを見学する。


マーケティング実践講座(南相馬会場)
担当:半杭真一(マーケティング)
社会のあらゆる場面で用いられていながらも高等学校で学ぶことのほとんどない経営学のいちジャンルとしての「マーケティング」について、実際に地元で生産・販売されている6次産業化商品を通じて学ぶことを目的とする。南相馬市市原町区の「有限会社高ライスセンター」の「多珂うどん」を題材として、小麦の生産からうどんへの加工、農産物直営所等での販売という一連の取り組みを伺いつつ、道の駅やスーパーでのナショナルブランドの商品との比較のなかから、商品の違い、価格の違い、販売促進方法の違いなどを分析し、そうした違いが生まれる背景を分析する。

